既望月を旅路の友として

ブログという名の備忘録(URL整理中…)

いざ西へ、年の瀬18遠征 ~03 閉ざせし江の川沿い鉄路~

どうも、急に気温が上がり着ていたヒートテックを脱ぎ捨てた既望路です。

 

つい先週までストーブくんが仕事していたような気もするのですがおかしいですねぇ

あっという間に梅雨入りを迎え、そして長い夏が始まるのでしょうね…

 

 

というわけで、今回も更新へと参ります

 

hesitant-moon.hatenablog.com

hesitant-moon.hatenablog.com

 

夜行バスで九州に降り立ち、北九州をグルっと回った初日

九州を立ち、山陽線を東へ東へ進んだ二日目

 

そして、広島で朝を迎えた三日目

 

年末の西日本で行われる18遠征

あなたの夢は無けれど、私の夢ならある

では、どうぞ

 

2017年12月28日

 モーニング芸備線

 もはや恒例行事

 

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朝の広島を駆け乗り込んだ、本日のトップランナー

堂々4連の芸備線です

 

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こやつにゆられ、朝の芸備線を北上

車窓に流れる石州瓦の家々がなんとも山陰陽地方らしい

 

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石州瓦島根県を中心に生産されている瓦で、中国地方の、特に山陰地方でよく見かけます

もはや、陰陽連絡線の車窓の代名詞と言っても過言ではないはず

 

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獅子の装飾

こいつで魔を追っ払います

奥はただの雀

 

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こちらは鷹(多分)

一富士二鷹…なんて言いますが、色々ご利益があるんでしょうきっと(

 

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波…ですかね?

鴟尾にせよ鯱にせよ鯉にせよ、火除けのまじないなんでしょうね

 

最初で最後

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そんなこんなでやって来た三次駅

 

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向かう先はそう、三江線

 

 三江線江津駅を出て、北西方面向け江の川沿いをゆるりと走っていた路線で、惜しいことに2018年に全線廃線となりました

 

着工は1926年と大正時代には既に建設が始まっていましたが、日中戦争・太平洋戦争の影響により一時中断

その後も延びに延びて全通は1975年と、実に49年かけて建設されました

 

全通から廃止までが43年なので、作っていた時代のほうが長い路線

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南北の両方から建設を行い、全通前は「江津北線」「江津南線」と呼ばれていたとか

(越美線みたいにならなくてよかったのがせめてもの幸いか)

 

ただ、残念なことに、全通する頃には既に車移動が定着

期待していた木炭輸送も、石炭の時代が終わったとこで不発

全通前から北線南線揃って、赤字83線にリストアップという閑散っぷり

 

それでも並行する道路が整備されていないということで長らく存続していましたが、2018年にとうとう引導が渡されることに

 

 

そんな三江線に、滑り込みではありますがなんとか機会を見つけ、こうして乗りに来ました

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駅を出ると早速江の川がお出迎え

終点の江津まで、この江の川沿いをのんびり走っていきます

 

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昔はもっと長いホームがあったんですかねぇ…

(まあ、超大客車の跡が残る駅に比べれば小さなものですが)

 

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流れる景色、その全てが最初で最後の車窓

しかと目に焼き付けておかないと、ですね

 

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江の川を右へ左へ

 

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潮駅

第七駆逐隊は関係ないです*1

 

沿線に石見神楽の文化が色濃く残る三江線の駅には、神楽に関するパネルも全駅に設置されています

潮払いはパネルによれば

神楽を奉納するにあたり、舞台である「舞殿」を浄め、神々の降臨を願う舞です。幣と扇を持って舞う一人舞いで、基本的な舞の型が込められています。二人での連舞の場合も増えてきました。

と言った感じのもの

 

元々は神座という祭殿のようなもの*2に迎えた神と、共に宴を催す際に行われた芸能

その催事の芸能が演劇性を帯び、今日でも石見神楽として地元神社の奉納神楽として、また地元の祭りや行儀として、この石見地方を中心に受け継がれています

 

 

 

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再び江の川を横断

 

この江の川ヤマタノオロチ伝説ゆかりの地らしいですね

(メジャーなのは古事記に登場する島根の斐伊川*3ですが、日本書紀の諸説ではこの江の川の別名である可愛川が舞台として登場するとか)

 

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トンネルを抜け、橋梁の上で停車

 

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橋の上の駅、宇都井駅でした

廃駅になるまでは、地上からの高さが日本一の駅でした

 

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すべての駅が最初で最後

日本一の駅もまた然り

 

 乗り納め客満載のため、増結中

 

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三次からカタコト揺られ、終点の石見川本

乗ってきた列車はそのまま江津行きに

 

この先は終点まで行き違い設備が無いので、ここで対向列車が来るまでずっと待機

実質1時間34分のバカ停です

 

 まあ、他にも色々ありそうですが(

 

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ホームが低い

 

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これまで数多くの旅の思い出の舞台となったこの駅も、残すところあと僅かなんでしょうね…

 

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せっかくなので、近辺をぶらぶら

 

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三江線PRキャラの石見みえちゃん

 

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鉄道むすめ…というわけではありませんが、鉄道むすめ以上に立ち絵があったりという力の入れよう…

 

PRキャラからの鉄道むすめ入り、という前例もありましたが、彼女の姿が見れるのも今では下記アーカイブぐらいなんですかねぇ…

ぶらり三江線WEB: トップページ

 

 強く生きて

 

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そんなみえちゃんがいるおもてなしサロンでえごまのお茶をいただく 

 

(後日この適当感想が謎のまとめサイトに取り上げられるとは露知らず)

 

 

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地元食堂や観光地が描かれたお手製マップも頂きましたが、夏の混雑食いっ逸れ事件を思い出し今回は軽くたこ焼きで

(3両分いっぱいに乗っていた乗客が全員降りて街なかへ… 飯屋もそう多くはなさそうと考えると…)

 

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1時間半の停車が無ければ来ることもなかったんだろうなぁと思いながら町をぶらぶら

町との出会いもまた、幾重もの偶然が結んだ縁

 

行ってないところ、行ったけどじっくり回れなかったところ

ほんと多いなぁ…

 

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手を振り返しながら、駅を発つ

一期一会の景色乗せ、江津行き列車は石見川本を発車

 

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連なる石州瓦の集落を後ろに、ズンズンと山を抜ける

 

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三江線の車窓を眺めていると、やたら目につくのがこの陸閘

川が溢れたときに閉じる、水門のようなもの

 

阪神なんば線などにもあるみたいですが、この陸閘もまた三江線の名物かなと

 

 

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鬱蒼と茂る山の中をガロガロとくぐり抜ける

 

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三次を出た5時間前からずっと車窓に流れていた江の川も、だんだん川幅が大きく

川の終点、そして路線の終点が迫っていることを知らせています

 

列車はのんびりゆっくりと過ぎていきます

この二度と見れぬ車窓を焼き付けるにはあまりにも速すぎる

 

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終点、江津に到着

全長108.1kmの、最初で最後の三江線乗車旅が終わりました

 

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三江線の列車が江津で山陰本線の列車と顔を合わせる姿もあとどれだけか

 旅のフィナーレ

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こいつを見ると、山陰に来たって感じがします

 

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三江線に"別れ"を告げ、黒い日本海沿いを進む

 おやつに最適なバラ売りもみじ饅頭

 

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大荒れの日本海、好き

 

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出雲市に到着

ちなみに島根に来たのはこのときが初めて

これで中国地方の都道府県は一通りたち降りたことになりました

 

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出雲市からは特急やくもに乗車

夏のニセコ号に続き、二度目の特急課金です

(また国鉄車)

 

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目星をつけていたお蕎麦屋さんが年末年始休みだったので、近くのローソンで売ってたネギ塩カルビ弁当がお夕飯

別に不味くはありませんがやっぱり駅弁に比べるとねぇ…

薄いお米が悲しい

 

停車駅はたまに、車窓も真っ暗、あるのは振り子特有の小刻みな横揺れのみ 

 

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気がつけば岡山に到着

これにて伯備線も完乗ですが、ほとんど実感はなかったので日が出ているうちに要再来訪ですねぇ…

 

ここからいつもの岡姫修行…

 

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ではなく新幹線

もうあんな修行とはおさらばだっ!!

 

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実は初乗車の500系新幹線

 

図鑑を開けトップを飾っていた500系のぞみ

憧れの群青の座席に座れ、テンションも舞い上がる

 

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図鑑で見た電話機!!

 

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図鑑で見た扉!!!

 

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図鑑で見た洗面所!!!!

変なの写り込んでる

 

補正入りまくりですが、どこみてもカッコいい

 

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そして降車

憧れの列車の乗車時間は一瞬のうちに過ぎ去っていきました…

 

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乗れるうちにいっぱい乗っておきたいですね…

 

で、ここどこよ

 

 相生だよ

 

というのも、単なる乗り継ぎ割引が目的の乗車で、通常3100円の出雲市~岡山の特急券が、970円の岡山~相生の新幹線特急券と組み合わせることで1550円に

あえて新幹線に乗り継ぐことで580円安くなるという小技(?)

 

まあ、特急券だけ買って岡姫修行しとけば580円浮きましたが、実際は500系乗りたさに出雲市~岡山から出雲市~相生に伸ばしているので、乗車券の差額は1100円

特急券で浮いた分差し引いても520円逆にかかっているわけですが

 

まあ、500円ちょいで新幹線に乗れたので良しということで

 

 

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九州、広島、三江線と続いた旅もいよいよフィナーレ

最後は安定の新快速です

(終電ギリギリチャレンジの代名詞、京都行き新快速)

 

 

こうして、年末の遠征は幕を閉じました…

 

後日談

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帰宅後、博多のひよこと鳥取のうさぎがバトっていました

個人的にはうさぎの方が好き

 

 

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年末恒例の番組に見覚えのある駅の姿

数日前、あの上の線路を確かに通ったんだなぁ…と

 

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そして来る3月末

運行情報欄に三江線の廃止を伝える文章が

トラブルも少しあったみたいですが、この日をもって、あの日駆けた108.1kmが路線図上からその姿を消すこととなりました…

ユーモア溢れる文章に、ほっこり、そしてだからこその少し寂しい気分に

 

 

 

旅での出会いは一期一会

その一つ一つを噛み締めて

 

 

 

というわけで、今回はここまでとさせていただきます

連休で一気に稼げるかなぁとも思っていましたが、連休明けたら落差で更新もままならず(

何だかんだで6月まで引っ張っちゃいましたね

(冒頭で梅雨入り云々言っていますが、あとがき時点では既に梅雨入り)

 

旅行計画もぼちぼち立てないとですので、更新に割く時間がますます減りますが、まあ早めに出せれば出します(いつもの)

 

全三回に渡る年末遠征編、お付き合い頂きありがとうございました

 

年末があれば年始もある

ということで、次回は年始編になるかと思われます

 

ごゆるりお待ちいただければ幸いです

 

では、以上

*1:潮の駅名は字名より。近くに潮温泉があり、その温泉に関する語ということで、潮の地名になったのかもしれない…だそうで(村石利夫『JR・第三セクター 全駅名ルーツ辞典』東京堂出版、2004年。)

*2:古くから神は樹木や巨石に宿るとされてきた

*3:木次線の沿線に流れてる川